FXの第一歩

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FXとは?

FXは、「Foreign Exchange」つまり「外国為替取引」の略称で、海外では「FOREX」とも呼ばれます。

「外国為替取引」とは、ある国の通貨を別の国の通貨に換える取引のことです。アメリカに旅行するときに日本円を米ドルに換えたりするあれですね。

日本円を米ドルに交換することを「ドル買い」あるいは「円売り」といいます。この通貨の価格変動に着目して取引する投資が「FX」です。

FXで儲かる仕組み

では、なぜ通貨を売り買いすると、なぜそれで儲かるのか(損するのか)について、解説します。

その1:為替レートの差額による損益

FXでは、主に為替レートの差額によって、損益が発生します。

世界中にはあらゆる通貨がありますが、それぞれの通貨の価値は、通貨同士の売り買いによって、24時間、常に変動しています。

円高や円安という言葉を耳にしたことがありますよね?

日によって1ドル=100円だったり、105円だったりするわけですね。

ドルと円の例で説明します。

2008年9月のリーマン・ショックの直前では、円のドルに対する価値はおよそ1ドル=110円でしたが、3年後の2011年には1ドル=80円程度になりました。

以前は1ドルと交換するのに110円必要だったのに、4年後は、80円あれば1ドルと交換できるようになった、つまり、リーマンショック後の3年間で、ドルに対して円の価値が高くなった、と言えます。これが「円高」です。

2011年以降は逆に、アベノミクスにより、4年後の2015年には1ドル=125円になりました。80円で交換できた1ドルが125円出さないと入手できなくなる、ということになります。ドルに対する円の価値が下がったので、その分たくさん円を払わないとドルに換えられないわけです。これが「円安」です。

1ドル=100円で買って、後日、1ドル=120円で売ったとすれば、差し引き20円の利益が出ます。もし1万ドルの取引の場合は100万円が120万円になって戻ってきたことになるので、この取引で20万円の利益が出たことになります。

もちろん、逆に1ドルが80円になってしまったら、1万ドルを再度日本円に交換しても、80万円にしかならないので、20万円の損失を被ることになります。

これを「為替差益」といいます。FXはまさにこの「為替差益」を狙った取引です。取引は日本円や米ドルだけでなく、メジャーな通貨を中心に様々な通貨の組み合わせで行うことができます。

その2:各国の金利差による損益

FXでは、為替レートの差額による損益の他に、各国の金利の差によって損益が発生します。

日本円は2017年5月時点で、政策金利はマイナス0.1%の超低金利通貨ですが、世界には金利の高い通貨もあります。

例えば、米ドルなら1%、豪ドルは1.5%、トルコリラはなんと8%という高金利です。

低金利の日本円で高金利の通貨を買うことで、通貨間の金利の差分を利益として受けとることができるのです。

これが、スワップポイント(スワップ)と呼ばれるものです。

高金利で有名な通貨にオーストラリアドル(豪ドル、AUDと表記)があります。近年は下げ傾向ですが、それでも現在の豪ドルの金利は1.5%です(2017年5月現在)。

日本円で豪ドルを買うと、金利の差分をスワップとして受けとることがてきます。スワップポイントはFX業者によって異なりますが、現在は大体、1万通貨(2017年5月のレートで約80万円分の豪ドル)あたり1日約30円前後が一般的で、高いところでは1日50円というところもあります。

1日50円のスワップポイントが付く場合、1万豪ドル(80万円)に対して、年間約1.8万円の利息が付くことに相当します。

日本の普通預金(金利0.001%)なら、80万円を預けても、年間利息はたったの8円ですから、2000倍以上ですよね。

このスワップポイントもFXの大きな魅力のひとつです。

ただし、スワップポイントは通貨間の売り買いによっては、支払うこともあることに注意する必要があります。

FXでは、円で外貨を買うだけでなく、先に外貨を売っておいて(空売り)安くなったら円を買い戻すことで利益を出すという取引方法も可能です。

その場合、金利の差分をスワップとして、逆に支払わなければなりません。特に高金利の通貨での取引では要注意です。

FXの魅力

「証拠金」と「レバレッジ」

FXの魅力は、まずなんといっても少額の資金で多額の投資資金を動かせるところにあります。

「少額の資金で多額の投資資金を動かせる」とはどういうことでしょうか?

簡単に説明しましょう。例えば、1ドル=100円の時に、1万ドルを購入する場合、通常は1万×100円=100万円の資金が必要になります。

FXには「レバレッジ」(英語で「テコ」という意味です)という概念があります。

取引会社に自分のお金を証拠金として預け入れることで、証拠金の数倍~数百倍の金額で取引できます。

これによって、100万円を準備しなくても(例えば10万円の資金でも)、1万ドルの運用が行えます。小さな力で大きなものを動かすことの出来る「テコの原理」そのものです。

1ドル=100円の時に10万円の資金を準備して、レバレッジをかけない場合、購入出来るのは1000ドルですので、もし1ドル=110円になれば、為替差益は1万円です。

FXだと、10万円の証拠金で、10倍のレバレッジをかければ、100万円として取引ができますので、同じ値動き(1ドル=100円→110円)で為替差益は10万円、つまり利益は10倍になります。

なぜこのようなおいしい話が可能なのでしょうか。

FXは「差金決済取引」を利用していることが理由です。例えば円でドルを買う際に、その都度金銭の受け渡しを行うことはありません。取引で生まれた差額分だけを決済する方法(差金決済)なので、少額での取引が可能になります。

1ドル=100円で1万ドル(100万円分)を買ったとします。

しかしこの際に100万円を渡すわけではありません。その後、為替レートが1ドル=110円になり、1万ドルを売って日本円にすると、110万円になります。

この時も110万円を受け取るわけではなく、差額である10万円分だけを受け取ることになります。これが差金決済です。

これによって、少ない資金で大きな利益を狙うことができます。

逆に、10万円の証拠金で、10倍のレバレッジをかけて、1ドル=100円で1万ドルを買ったものの、1ドル=90円になってしまえば、10万円の損失になり、預けた証拠金はゼロになります(正確にはゼロになる前にロスカットという仕組みがあり、証拠金の一部は残ります)。

つまり、FX口座に入金した資金で損失がカバーできる範囲で、FX会社に外貨の売買取引を依頼しているのです。もし損失が出た時は、預け入れた証拠金で損失分を支払ってね、ということです。

レバレッジをかけることで、投じた金額よりはるかに大きな利益が期待できる代わりに、逆にそこにリスクも潜んでいます。レバレッジ10倍では、利益が10倍になる代わりに、損失も10倍です。

2000年代には、FXで儲けた主婦が脱税したなどの話題が新聞や雑誌でよく見かけました。当時は日本にはレバレッジ規制がなく、400倍のレバレッジをかけて取引することも出来ましたので、億単位の利益を上げた方もいました。

逆に初心者による無茶な投資で破産したり借金生活へ転落する人達が増えたことにより、2011年8月より、日本国内においては、レバレッジは25倍までに制限されることになりました(海外では、いまだに400倍の業者も数多くあります)。

つまり昔は10万円の証拠金で、4000万円の取引が出来ていたのですが、今では250万円までの取引になります。

本ブログでは、大切な資産を失わないことに主眼を置きますので、リスクを抑えるため、実質的なレバレッジは25倍よりもさらに低く運用することを基本スタンスにしています。

SBIFXトレード

「買い」と「売り」

FXでは外貨預金と同様に、日本円で外貨を買い、その外貨の価値が上昇した際に売る(決済する)ことで利益が出ます。外貨の「買い」から入る取引はロング」(Lとも略されます)とも呼ばれます。

外貨預金を新たにスタートする場合、まず手持ちの日本円で外貨を「買う」ことしかできませんが、一方、FXでは、まず外貨を先に「売り」、外貨の価値が下がったときに買い戻す取引方法もあります。このように売りから入る取引をショート」(Sとも略されます)と言います。

売りから入る「ショート」の概念が、わかりにくいかもしれませんが、つまりこういうことです。

1ドル=100円で1万ドルを売る場合、まずFX業者から1万ドルを借りて、その1万ドルを売って100万円を手にしている状態です。

その後、為替レートが1ドル=90円になれば、借りている1万ドル分は90万円で返すことが可能になるので、余った10万円が利益として手元に残ります。

FXは証拠金を預けて、証拠金以上の取引をしているのですから、「ロング」の場合はFX会社から日本円を借り、「ショート」の場合はFX会社から外貨を借りて取引をしていると思えば分かりやすいでしょう。

FXでは、様々な外貨を取り扱っていますが、為替レートが値上がりすると思えばロング、値下がりすると思えばショートの注文を出して、収益を狙うことができます。

FX用語で、注文をした状態を「ポジション」と呼びます。円で米ドルをを買った場合には、「USD/JPYの買いポジションを持った」といいます。

また、保有しているポジションを解消することを「決済」と呼びます。

ロングにしてもショートにしても、ポジションを持っている間は、損益が出ていても、その金額は確定していません (確定していない損益のことを、含み益、もしくは含み損と言います)。

十分な利益が利益が出ていて「そろそろ利益を確定させたい」もしくは「これ以上損失を大きくしたくない」と思ったときに「決済注文」を行います。

決済注文は、リアルタイムで行うことも出来ますし(ストリーミング決済)、あらかじめ設定しておいた決まった値段で決済することも出来ます(指値/逆指値決済)。

FXの取引時間帯

FXは取引時間が長いのも魅力です。

株の世界では、例えば日本の株式市場は9時~15時ですので、サラリーマンにがリアルタイムトレードを行うには、「トイレトレーダー」になる必要があります(笑)。

一方、FXは平日24時間取引可能です。東京市場、ロンドン市場、ニューヨーク市場などという言葉がありますが、株式のように決まった取引所があるわけではなく、その時間帯によって取引が活発になる地域を指しています。

  • 東京市場:9時~17時
  • ロンドン市場:17時~1時(夏時間)、18時~2時(冬時間)、
  • ニューヨーク市場:22時~5時(夏時間)、23時~6時(冬時間)

ロンドン市場とニューヨーク市場の時間帯が重なる22時~2時あたりが最も活発に動くため、日本のサラリーマンにとっては、家に帰ってから寝るまでじっくりトレードすることができるので、好都合です。

また、FXでは基本的に24時間取引可能ですが、土日は市場がお休みになりますので、取引できなくなります。

強制ロスカット

FXは証拠金で損失をカバーできる範囲内で、取引を行うことができます。

含み損が証拠金でカバーできる限界に到達したと判断された場合、損失を限定させるため、投資家の意志とは無関係にFX会社が強制的にポジションの決済を行います。

これが「強制ロスカット」です。

以下に、簡単な例を挙げて説明します。

例えば、口座に預け入れた証拠金10万円で、1ドル=100円で、1万通貨(100万円分の米ドル)のロング(買い)のポジションを持っているとします。

為替レートが上がって、含み益が出ている場合は良いですが、逆に下がった場合を考えましょう。

1ドル=97円に下がると、3万円の損失になりますが、あくまでも含み損の状態ですので、決済するまでは損失は確定しません。

しかし、1ドル=90円以下になると問題が発生します。損失が預け入れた証拠金を越えていますので、口座がマイナスになってしまいます。

そうなると、FX会社は、投資家から資金を回収出来ない可能性もありますし、投資家もFX会社に対して債務を負い、追加で入金を迫られることになってしまいますので、双方にとってリスクとなります。

強制ロスカットは、そのような事態になる前に、強制的に決済が行われ、証拠金は損失の補填に充てられます。

ここでは、簡単のために、証拠金が全て含み損に充てられるとしましたが、実際に含み損に充当できるのは「口座に預け入れた証拠金ー取引に必要な最低証拠金」になります。

強制ロスカットには、FX会社ごとに決められた「ロスカット水準」と言うものがあり、口座の評価額が「取引に必要な最低証拠金」と同額になるあたりで実施されます。

含み損がいくら出ていても、決済しない限り、巻き返しの可能性はありますが、強制ロスカットを受けてしまうと、損失が確定して投資資金の大半を失うことになってしまいます。

FXの相場から退場せず、収益を上げていくためには、強制ロスカットに陥らないよう、しっかりとした資金管理を行うことが、極めて重要になります。

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